通っていた婦人科の話<後編>

前編→通っていた婦人科の話<前編> - ゆづみそ煮

 

【前編のあらすじ】

婦人科のジジイ先生に「子供出来にくいかもね〜」と軽口を叩かれ、不安のどん底に突き落とされるも、晴れて待望の妊娠が判明したゆづみそ。不妊検査から一転、今度は妊婦健診で同医院を訪れることとなったゆづみそだったが…。

 

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妊娠判明後の妊婦健診は、件(くだん)のジジイ先生の元へ通いました。ジジイ先生のことは苦手でしたが、前編でも書いた通り、仕事を休まなくても通えるからです。

ですが、この医院では分娩はやっていないので、分娩はまた別の病院にて予約を取らねばなりません。妊娠したら里帰り出産しよ〜☆と漠然と考えていたわたしにとって、これは好都合でした。

なぜなら、以前「分娩もやっている婦人科で妊婦健診を受けていた場合、里帰り出産することを告げると途端に診察が適当になる病院がある」とネットで見たからです。「え?うちで出産しないの?あっそ、もうどうでもいいわ。うちで分娩しないならうち儲からないしさ」と考えるけしからん医師がいるそうなのです。

とても失礼な上にわたしの勝手な想像ですが、わたしの通っている医院のジジイ先生はまさにこの考え方をしそうな感じなので、この医院で分娩を取り扱ってなくて本当に良かったです。

 

で、肝心の妊婦健診ですが、やはりジジイ先生のせいで嫌な思いをたくさんしました。

 

【嫌な思い01:妊娠初期】

初期の健診では毎回特に問題はなかったが、その度に「でもまだ何があるかわからないから」と釘を刺される。

そりゃその通りなんだろうけど、何故このジジイはいちいち不安を煽るようなことを言うのか?

 

【嫌な思い02:安定期】

やっと安定期に入った頃、初めて「お腹が張る」感覚を覚えた。どっちみち翌日病院へ行く予定だったので、その際ジジイ先生に「昨日の夜からお腹が少し張ってる?感じがします」と伝えたら怒られた。「張ったらすぐに来ないとダメじゃないか!」と。でも張ってるのに気づいたの昨晩だし、その翌日のお昼にこうして来院しているんだから最速で来とるやん。と思い、「いや、昨晩からなんで…」と言うと、ジジイ先生は「あぁ、昨日からね」と言い、特に誤解で怒ったことへの謝罪なし。えぇー…。

 

【嫌な思い03:体重①】

妊婦健診の時に毎回体重を計るのだが、当然増えていかないと困る。幸いわたしはゆるやかではあるが増えていってたのだが、ある時ジジイ先生に「体重が減ってるじゃないか!」と怒られた。診察前の体重計測で数字を見て「増えてる増えてる♪」と思っていたわたしは驚いて言った。「え、増えてると思うんですけど…」

結局、看護師が口頭でジジイにわたしの体重を告げたのを、ジジイが間違ってメモしてた。この時も特に謝罪なし。

 

【嫌な思い04:体重②】

それまでゆるやかにしか体重が増えず、毎回「増えてはいるようだが、もう少し増えてもいい。飯の量を増やせ」とジジイに言われていた。でもつわりもありそこまで量を食べられず、妊娠中期になってもゆるやかにしか増えなかった。

ある日の妊婦健診の時も、診察前に体重を計ったが、そんなに増えていなかった。そのまま診察室に入ると、わたしの今日の体重の数値を見たジジイが言った。「増えすぎじゃないか!?」と。

絶対そんなことない。前回、前々回と増え幅は変わらないし、前回も「もっと食え」と言われたのだ。それなのに今回は増えすぎって。なんじゃそら、と思っていたら、追い討ちのように言われたのが以下になります。

「あのねぇ、この時期に体重増やしたって赤ちゃんに栄養いってるわけじゃないんだよ!あんたがただ太っていってるだけ!!!」

えー…それまでずっと「もっと増やせ」って言われていて、急に「太り過ぎ」って、なんなの?前回から急に数kg増えたっていうなら言われても仕方ないけど、全然だよ。もう、わけがわからないよ。

 

【嫌な思い05:予防接種】

10月も近くなり、ニュースで「今年もインフルエンザのワクチンが品薄になりそう」という報道をしていた。

妊婦でもインフルエンザ予防接種は受けられるし、むしろ受けた方がいいという情報を知っていたわたしは、同じ会社の別部署に勤務していて、同時期に出産予定の同期に予防接種どうするか尋ねた。彼女もまた、例のジジイ先生の元へ文句を言いながらも通っていた。

彼女は「あ、なんかジジイ先生の方から勝手に"あんたの分のインフルエンザワクチン用意してるからね"って言われてて、今度ジジイんとこで予防接種受けるよ。ゆづみそちゃんも健診の時言われるんじゃない?」と言った。そうなのか、たしかにあのジジイ、あぁ見えて自分の患者のことは自分でやりたいって感じだもんな。じゃぁわたしもその内言われるんだなと思った。

しかし、11月終わり頃まで特にジジイからは何も言われなかった。さすがにこっちから訊いてみた。

「え?インフルエンザワクチン?そりゃ受けた方がいいよ!うちの妊婦さんは10月の内にみんな打ち終わったよ。あんたも他の病院に早く予約入れなさい。早くしないと受けられなくなるよ」ジジイはそう言った。

え?わたしもこの病院で健診受けてるんだけど。あんたにとってわたしは「うちの妊婦さん」に含まれないの?なんで?なんらかの事情で受けられないならもっと早く言ってくれよ。

結局それから至急、よその病院に電話して、ギリギリ受けられた。こっちも確認不足も認めるが、ジジイは何なんだ。

 

…と、こんな具合に不愉快なことがたくさんありました。特に4番の太り過ぎ発言をされた時は、マタニティブルーだったのか何なのか異常に落ち込んでしまい、家に帰って泣いた。

このジジイの元へは、妊娠30週まで通い、それからは実家近くの総合病院の産科へ移り、出産しました。

結果、子供は無事に生まれたけれど、次があるとしたら、もうジジイの医院へは通わないと思う。

 

-完-