光るものを感じる

20代半ば頃、ニートだった時期がありました。ニートも、楽しいのって最初の1ヶ月くらいだけ。そっからは、「ずっとこうしているわけにはいかない(体裁とか貯金の残金的な意味で)」という不安や、同居者から向けられる「こいついつまで無職なんだ…」という冷たい視線とプレッシャーに押しつぶされる日々。

どうでもいいけど、こういう時の家族って直接口では言ってこない(就活しろとか)けど、なんか言われる以上の威圧感を感じませんか?こっちに負い目があるからそう感じるだけでしょうか?つまり、被害妄想ってこと?

 

そんなことは本当にどうでもよくて、ニート期間もまもなく1年になろうという頃、「ほんとになんとかしなければ」と思い、手当たり次第面接へ行きました。事前にハロワに通い、履歴書や職務経歴書をチェックしてもらいましたが、ハロワの担当者から「特に直す必要がないくらい、良いと思う」という太鼓判をもらっていたので、書類には問題なかったと思います。しかし、面接には落ち続けていました。面接官が年下の女で、それにも落とされた時はさすがに頭にきましたね。

先程「手当たり次第面接に行った」と書きましたが、実際行ったのは3社くらいで、全滅して嫌になって就活はやめました。面接の電話して、スーツ着て面接行って、不採用通知をもらう。なんの罰ゲームですかこんなの。

早々に嫌になったわたしは、とりあえず無職の空白期間を埋めたいと思ったのと、事務希望なのに事務経験がヤマトの営業所での短期バイトしかないのも敗因のひとつだろうと分析して、派遣に手を出してみることにしました。なりふり構ってられないので。

 

実は以前にも派遣やってみよっかなと思ったことはあって、何社か登録してあったので、なんか事務の仕事はないか連絡してみました。ちなみにその内の1社はいまだに「中国でテレアポの仕事しませんか」という電話をたまに掛けてきます。しねーよ。

で、とある派遣会社から、某放送局大手の事務の仕事を紹介されました。そうです、国民から受信料をむしり取っている、わたしの大嫌いなあの会社です。私は受信料を払っていないので、ちょっと躊躇しましたが条件は悪くなかったので面談に行ってみることにしました。時給は、国民からむしってる割にはめちゃくちゃ低かったですが、短期の繋ぎのつもりだったので妥協しました。

面談の当日、派遣会社の営業担当S田から「今日は僕は他の派遣さんの面談に付き添わなければならなくなったので、ゆづみそさんは1人で面談に行って下さい」と言われました。以前他の派遣会社で面談に行った時は、派遣会社の営業担当もついてきてくれて心強かったと同時に、あらかじめこっちが希望していた条件が相手先に伝わってなかったり、面談後にその営業から失礼な事を言われて頭にきたことがあったので「え?面談ついてきてくれないの?そういうこともあるの?てか他の人の面談についてくの?わたしはどうでもいいってこと?見捨てる気?」と、頭ん中グルグルしたまま某放送局へ面談に行きました。

某放送局へ行くと、面談の担当者が出迎えてくれました。「あれ、おひとり…ですか?」と言われたので、やはり派遣の面談で営業担当なしで来る人ってのは珍しいのだなと悟りました。S田め、クソ。

面談は非常に和やかに行われ、手応えがありました。ですが面談担当者が途中で言っていた、「ゆづみそさんに就いてもらう業務は大人数でやってもらってます。なのでいつ休んでもらっても他の人がいるので大丈夫です。休みやすい職場ですよ」と言われたのが、なんか「お前の代わりなんてなぁ!いくらでもいるんだよ!!」と言われたような気がしてムッとしました。まぁ、実際そうだし、休みやすいとか最高じゃんって今なら思いますが。

面談を終えて帰宅すると、S田から電話がありました。面談がどうだったか聞かれたので適当に答えると、「先方もゆづみそさんのこと気に入っていたようですよ!履歴書(なんかこの時は派遣なのに履歴書を提出させられた)に光るものを感じる、って仰ってたくらいですから!」と興奮気味に話すS田。わたしはS田に見捨てられた事を根に持っていたので、「あ、そすか。うぃす」みたいな感じでそっけなく電話を切りましたが、「履歴書に光るものを感じる」と言われたのは嬉しくて、そして、「こりゃ面談通ったな」と確信し、ほくそ笑みました。

後日、S田から言い渡された面談の結果は、不採用でした。なんでやねん。お前らの感じた「光るもの」ってなんだったんだよ。落とすつもりの奴相手にお世辞言うなよ。

 

だから、あそこの放送は一切見ません。